海野 清

洲之内コレクション展

「本日休館」第10号(2009夏)

平成21年4月19日(日)、宮城県美術館で開催している「洲之内コレクション」に行ってきました。「気まぐれ美術館」で取り上げている、本物の絵を見ることができるとワクワクして仙台に向いました。

この日に決めたのは、原田光氏の「洲之内コレクションについて」という講演会があるからです。(原田光氏は洲之内徹の息子さん)
画家たちの絵を評することなど到底できない事なので、今回もコレクション展で自分が一番欲しい絵はどれか……ということをテーマにしようと思い、美術館に入って行きました。

気になった作品をチェックしながら観てまわりましたが、「一番欲しい絵」が何点も出てきてしまい困りました。そしてコレクション展の中でも、自分の好きな絵、そうでもない絵が結構はっきりしていることに気がつきました。

出品目録にボールペンでチェックを入れながら、歩いていたら係りの女性がこちらに向って来て、「申し訳ありませんが、ボールペンはご遠慮下さい」と言ってエンピツを渡されました。「美術館ってそういうものですか?」「はい、そうです」と笑顔で答えられました。知らなかった。

楽しみにしていた佐藤哲三「赤帽平山氏」。実物は、はるかに迫力があり驚きました。この迫力は一体どこからくるのだろう。水村喜一郎「小さなガード」には松本竣介とは違った静寂感があり気になりました。

観客は少なく、混雑を予想していたので拍子抜けしてしまいました。また「コレクション」の数の多さに驚きました。「…最後まで手放さなかった作品」がこんなにも多いとは。今よりは、はるかに安い価格で買えた時代にせよ、結果的にすべてをここに費やしたという事なのでしょう。洲之内徹は欲張りである。

手に入れれば「一生いけるような気がする作品」。私の欲しい絵はそういうものですが、今回の「洲之内徹コレクション展」では、森田英二「花見小路」、長谷川利行「街景」、など欲しい絵ばかりでした。

ひと通り観て「一番欲しい絵」は、村山槐多「風景」。

館内のコーヒーショップで休憩。ドーナツセットを注文(とてもおいしかった)。コーヒーをいただきながら、出品目録にチェックした作品を確認しました。原田氏の講演を聴いてから、もう一度観ることにしました。

講演/原田光「洲之内コレクションについて」

館内の講堂で午後2時からはじまりました。これも予想に反して聴衆は50人足らずでした。『「洲之内徹」を語ることは、「父」を語ることだが、小学校へ上がる前には2回ぐらいしか会ったことがなかったので家族とは思えない……』と言っても父親・洲之内徹からは逃れられないし、受け止めて、受け入れていかなければならない。その苦労や屈折がところどころで感じられた、というかこの講演は、原田光氏が父親でもある洲之内徹を受入れていく経緯を話しているように思えました。

『墓がどこにあるか知らない。このコレクション展は父親の墓参りのようなもの』
原田光氏は現在、岩手県立美術館館長をしておられます。
講演終了後、もう一度会場をまわって、『「一番欲しい絵」は……村山槐多「風景」』を確認しました。その理由を言葉にすることが難しい。

朝7時15分の新幹線で東京へ、東北新幹線に乗換えて仙台へ。到着は10時15分。ブックオフを探して入店、3冊購入。仙台市営バスにて宮城県美術館前下車。美術館の中にあるレストランで早めの昼食。帰りは仙台17時26分発で東京、静岡には20時32分着。忙しくも貴重な一日でした。

「尽日刹那」=「1982年外国映画ベスト10(映画芸術1983年2月号より)」の高橋正也さんは私の恩師であります。昭和58年(1983年)逝去。ついこの間のように思われます。
次回は10月初旬の更新予定です。では、それまでごきげんよう。