石笑 辛一

「幸せ脳」と”冷え”とモーツアルトと

Ⅰ 『人間を幸福にする脳という「道具」』(大木幸介;新樹社,1997年)
Ⅱ 『心もからだも「冷え」が万病のもと』(川嶋朗;集英社新書,2007年)
Ⅲ 『絶対モーツアルト法 ― 高周波音が脳を活性化する』(篠原佳年;マガジンハウス,2000年)

Ⅰは、脳的人生論である。大木氏はことし90才の脳科学者で、この書は80才の時に書かれたが、文章・語り口も明快で、じつに若い。情熱の書であり、特に30代までの若い人にも読んでもらいたい。生きるヒントに充ちている。幸せな人生、最高に充実した生活を、脳は求めていて、年令など関係ない。30代で老化している人もいれば、80代の青年もいる。

Ⅱは、現代医学には欠落しがちな「冷え」という観点からとらえた、病因病態論であり、低体温化がすすむ現代人に”HOTであれ”というメッセージの書である。ガン・自殺・うつ・アトピー・ぜんそく・メタボリック症候群から更年期障害、子どもばかりか、キレやすくなったお年寄りや若年性のボケなど、みな「冷え」に関係しているのだ。

Ⅲは、膠原病・リウマチなど現代の難病に四ツに取り組んでいる医師がたどり着いた音楽療法書で、フランスのトーマス博士の開発した理論とメソッドにもとづいていて、具体的には高周波に充ちているモーツアルトを聴くことで、脳の若返り、活性化を図る。

今や「脳」を抜きにして”人生”や”幸せ”を語ることはできない。より、ズバリ言えば、ドーパミンやベータ・エンドルフィンという脳内ホルモン、アドレナリンやノルアドレナリンという脳内ストレスホルモンの使い方、出し方、コントロールいかんで、くもりのない至福の人生か、不快不如意のままに人生を閉じるのかが左右される。どうしたらいいのか?

まず、冷えとりで体温を上げる。次に好きなことして遊んで暮らす事である。そして、集中し創造的、前向きに生きる事である。

来年で70才の古希になるボクは、妙に日々楽天的気分になっている。老いることは、たんなる年齢の若さより、ワクワクすることでは? ”老いるは、生いる”。まだ伸びる、広がれる。若い時にはわからなかったコト・モノ・ヒトが、ある日、「あ、そうだったのか」と急に理解でき、悟り、ますます知る喜びが増大してゆくことこそ、老年しか持てない「イきるチエ、チカラ」である。

例えばモーツアルト。若いころはシンフォニー「40番」ばかり聴いて偏愛していたが、今は「41番」(ジュピター)もわかるし乗れる。そして、少しずつだが食わず嫌いだったモーツアルトの「オペラ」を聴き始めている。  脳の持てるボー大? な”記憶”力と、体が持つボー大な”快感=快楽”力は、限界がない。絶望と鬱は、脳の悪い習慣にすぎず、またモーツアルトは一生聴きつづけても決して人生を裏切られる事もないでしょう。