海野 清

『北へ、北から 小島一郎』『須賀敦子の世界展』



 11月初旬、妻とクレマチスの丘(静岡県長泉町)にあるIZU PHOTO MUSEUMにて開催されていた『北へ、北から 小島一郎』写真展に行ってきました。ここは写真家・杉本博司が設計(内装・坪庭)を手がけたことでも話題になったところですが、今回はじめて訪れました。
 一枚の写真から、詩が、物語が、生まれてきそうな、そんな写真でいっぱいでした。平凡な風景なのに、写真家が撮ると、違ったのもの、神秘的だったり、詩的に感じられるものになるのは、なぜだろう。多くの写真をみてきたわけではありませんが、そんな事をあらためて考えさせられました。
 作品紹介用に、また写真家仲間に意見を求めるために作成されたといわれる「小島のトランプ」と呼ばれていた名刺大の写真が台紙に貼られてたくさん展示してあるのが印象的でした。

IZU PHOTO MUSEUMの入口画像

 11月16日には、神奈川近代文学館にて開催されていた『須賀敦子の世界展』に行ってきました。会場を素早く見て廻ってから、編集者として関わりがあった松家仁之氏の記念講演「須賀敦子の手紙」を聴くためホールに入りました。昨年(2014年)、須賀敦子が生前、友人夫妻に宛てた55通の書簡が発見されましたが、松家氏は、この友人夫妻と手紙の取材や公開にも関わられ、その時のエピソードなどを交えて、書簡からみえる須賀敦子について話されました。
 「世界の言語はたくさん(約3,000語)あるが、文字がある言語は少ない(約78語)。会話、話の面白さが、魅力的な書き言葉として、書簡のなかにみることができる。その意味で須賀敦子の文章は〝語りかける人〟として〝読者に宛てた手紙〟なのではないでしょうか」と講演を締めくくられました。
 自分が須賀敦子について語るには、もう少し時間がかかるかな、と思いつつ帰路につきました。「須賀敦子の手紙」は、松家氏が創刊された『つるとはな』(創刊号)に友人夫妻と共に一部紹介されています。

「須賀敦子の世界展」告示板

 「本日休館・第30号」をお届けします。なかなか計画どおりいきませんが、次回の更新は4月です。では、それまでごきげんよう。今年もよろしくお願いします。