築地 政男

“休日は茶畑で”-緑茶製造12年目を終えて

粗揉機(そじゅうき)。蒸した茶葉の水分を取り除く機械の写真

写真は粗揉機(そじゅうき)。
蒸した茶葉の水分を取り除く機械。奥から熱風が出て、大きなフォーク状の棒と鍬状の金具が回転して茶葉を掻き上げる。




 機械の動かし方だけ教えて頂いて、いきなり製造本番を迎えたのが11年前の平成15年でした。母の同級生の茶農家の方お二人に入れ替わりついていただいてのことでした。6工程を4~5時間かけて荒茶にするのですが、各工程の仕上がり具合が全く見当つかないので、時間をかけ過ぎて粉が多くなり、艶もないお茶にしてしまったこともありました。40㎏くらいもできてしまい、知り合いの茶商になんとか買ってもらって片付けたこともありました。

 その後、市場への出荷は止めて直接小売りで経費を稼ぐように方針に変えたのですが、所詮素人の趣味程度。とても何十年も経験している玄人さんと同じ土俵で勝負できるものではないと考え、飲んでおいしいと言ってくださる方に買っていただくしか道はないという状況に、敢えて追い込んでいったのでした。
 それでも、茶園管理、機械のメンテナンス、製造後の袋詰めの方法、販路の開拓等々・・・、言葉では簡単ですが、現実には言い尽くせない程の試行錯誤を経験しながら、振り返ればピンチの時には不思議とアイデアが湧いたり、助けてくれる方が現れたりと、曲がりなりにも挫折せず続けてこられたのは、本当に様々なご縁の積み重ねなんだろうなあと思います。

 今年は暖国静岡(といっても旧静岡市は除きますが)でも、2月に積雪があり、我が家から10kmほど奥の川根町に通じる地区では道路(国道362号線)の除雪がなされたほどで、その後も3月4月と低温で推移しただけでなく、4月には2回ほど霜害に遭い、私にとって最も遅い新茶の収穫の時を迎えたのでした。

 収穫時期には約1週間近くの幅があると考えていますが、降雨によって生葉(なまは)が硬くなっていくことが促進されて、味も無くなっていくように思います。
 平日は会社員の傍らなので、いつ休みを取得するか、また手伝いの方も手配しなければと、毎年ぎりぎりの選択になります。独りでできるならどんなに気楽かと思いますが、今更愚痴を言ってもどうにもなりません。

 さて、今年の収穫の初日は5月5日の祝日。朝4時起床して一人で朝食を済ませ、昔乍らの手鋏で刈り始めたのが5時40分でした。急峻な土地なので、二人用の機械では作業できないためです。手伝いにきてくれる方々は8時からなので、それまでに手鋏で作業する箇所を終わらせておこうと、逆算して開始時刻を決めたのでした。

急峻地にある茶畑の写真

急峻地にある茶畑

 ほぼ予定通りに進めることができ、その後二人用の可搬式茶摘み機で作業し、10時30分過ぎに終了すると同時に雨が降り始めてきました。手伝いの方々と手分けして、急いで生葉と機械等を山から運び、生葉置き場にした車庫で計量する頃には本降りになってきました。でも、今日は珍しく読みが当たったおかげで、午前中の作業は予定通りに終了できたのでした。午後からは製茶に取り掛かります。
 こうして数日、午前中は収穫、午後は製茶をするパターンを繰り返し、一番茶の荒茶製造を終えたのが5月16日でした。

 それから、販売用、贈答用、自家消費用に分け袋詰めの作業へ移ります。
 4月に今年の予約注文を受け付けてリストを作っておきました。会社から帰宅後、リストと照らし合わせながら、袋詰めとシール貼りを夕食を挟んでこなしていく日々が続きます。
 今年販売用に用意したお茶はちょうど売り切ることができました。これまでで最も収量が少なかった昨年とほぼ同じです。自分の人件費は稼げないのが実情ですが、それ以外の経費は何とか帳尻が合う見通しがたちました。これで来年も続けられそうです。

 今年は新たに3人お客様が増えました。が、1人減ってもいます。地元静岡市が大半ですが、縁あって南は沖縄、福岡から島根、大阪、京都、滋賀、千葉、秋田の各県にも発送させていただいています。ただ、こうして毎年買ってくださるお客様がいることは何よりの励みですが、正直なところ、1人のお客様が大量に購入くださるのはちょっと恐いことでもあります。少量でもお客様の数が増えていくことを願っています。その方が私も飽きない(商い)で続けられると考えています。

 お茶は嗜好品でもあり、私の作ったものがどなたの口にも合うとはいえないと思いますが、この記事を読まれて興味を持たれた方はお問い合わせください。数に限りはありますが試供品をお送り致します。