石笑 辛一

C.W.(コリン・ウィルソン)論 序説 その2

イメージ画像:祭礼神輿


 C.W.が亡くなって(2013.12月)没)びっくりしたが、もひとつ日本の論壇・文壇からはほとんど反応がみられないのにも・・・。もうコリン・ウィルソンは「過去の人」なのか?
 この文を書くために、本棚から21点ひっぱり出して、部分的に読み返したが、やっぱりいいよC.W.は

 デビュー作『アウトサイダー』(1956)をはじめて読んだのは25歳の時だったが(紀伊國屋書店/1964・第18版)、以来『夢見る力-文学と想像力』『宗教と反抗人』『オカルト」『覚醒への闘い(ロシア神秘家グルジェフ評伝)』と夢中になった。一時期離れた時もあったが『殺人』『スキャンダル』百科シリーズ等にはうんざりした。しかし、彼の師匠である『バーナード・ショー伝』のあとがきには改めて敬服した。とにかくC.W.は、ひたむき一途、若々しい、熱っぽく「意識の拡大・進化・自由」を究明してやまない。

『コリン・ウィルソンのすべて・下』の表紙画像 『コリン・ウィルソンのすべて・上』の表紙画像
 晩年に2巻の自伝(『コリン・ウィルソンのすべて-』:河出書房新社:2006年)を遺した。読んではないが、C.W.はどこへ行く? ひとつはグルジェフのような求行の聖者の道か、あるいは完全な世捨人・修道院入りか?

 そうそう。彼の『音楽論』(1967年)がめっぽう楽しくて、何遍読んだか。正しくは作曲家の人間性についての実存批評集で、ストラビンスキーもバルトークも二流作家・人物と断定したのには驚いた。レコードは5,6千枚持ち。音楽書も浴びる程読んだらしいが、ジャズは活力の神話にすぎず、オペラに関する章は秀逸でワクワクする。やはり、モーツアルトとベートーヴェンの人間力と、発展してやまぬビジョンには、一にも二にも敬服に値する。
 『アウトサイダー』とはビジョンを目ざして難波挫折した人間だが「文明」は「宗教」なくしては分裂・衰退するばかりである。

 以下五人の人物を紹介したい。C.W.のテーマに関連する処大なり。
 手塚治虫(1928~1989:大マンガ家)
 帯津良一(1936~:医師)
 荒川修作(1936~2012:美術家)
 永山久夫(1934~:食文化史家)
 イハレアカラ・ヒューレン(Ihaleakala Hew Len:ハワイの日秘法伝導家・セラピスト:推定70歳代)

 手塚の遺書『ガラスの地球を救え』(光文社:1999年)を再読。21世紀の君たちへ、若い世代へ手塚が伝えたかったメッセージとは「生命の大切さ」だが、手塚自身は身命をすりへらして胃ガンで夭折した。

 帯津の最近書『医者が書いた死ぬまで元気に生きる知恵』(中経文庫:2013年)は氏独得の死生観がしっかりしていて、死ぬとは150億年前のビッグバンへの大いなる旅立ちと言うのだから気宇広大。

 荒川は、ボク世代にとり1960年代の前衛アーティストとして衝撃を与えた人で、晩年には人間の宿命である生・老・病・死に打ち克つビジョンを造形してみせたスーパー人間。20世紀の物質文明から「生命文明」へ!

 永山は古代食再現の第一人者だが、荒川と同じく物質文明を超える「精神文明」への渇仰を表明。気強食によるブレインパワーUP(活脳・体質改善)を提案する。『「気」強食健康法-不老長寿・活脳・体質改善』(日東書院:1990年)。

 ヒューレン著『ハワイに伝わる癒しの秘法 みんなが幸せになるホ・オポノポノ 神聖なる知能が導く、心の平和のための苦悩の手放し方』(徳間書店:2008年)は、ホ・オポノポノの教えと技法を惜しみなく開陳する。氏の女弟子カマイリ・ラファエロヴィッチの『ホ・オポノポノライフ』(講談社:2011年)も、ほんとうの自分を取り戻し豊かに生きる人生指南書で、巻末の吉本ばななとの対談も興味深い。

 もう一人。もっと若い世代の、この書をすすめたい。
しあわせ絵あわせ音あわせ』(NHK出版:2006年)。著者の杉原たく哉は1954年生れ。早稲田大文学部大学院で中国古代美術史を専攻。家業は友禅染め工房の長男だけあって、美術センス抜群。中国の山水画や彫金細工にあらわれた「幸せのバーチャル世界」へようこそ!

 さらにロクリアン正岡(1945年鹿児島生まれ)という特異な作曲家にも注目を。CDがⅠ~Ⅴまで出ているが表紙の絵も自ら描いている。氏のコンサートも2回程聴きに行ったが、ヤカン頭の堂々たる人物だった。

 2年前に物故したヴァイオリニストで作曲家(テレビ時代劇『大江戸捜査網』のテーマ曲がよく知られている)の玉木宏樹(1943~2011)の著書『純正律ミュージックは世界を救う』(文化創作出版:2002年)、『猛毒!クラシック入門』(文化創作出版:1993年)も一読を。

 しかしまあ、昨今のニュースときたら、どうですか?
 ナントカ河内の傑作『交響曲』が実は代作人がいた! とか、ついに発見された「STAP細胞」は存在しなかった、STOP!!。それに東京都議会議員の「セクハラやじ」。あーあ、半難聴の俺にも聴こえたぞなもし。エッ、石原が分党して「次世代の党」を立ち上げたと、もうエエかげんに隠居せよ。大江も近頃はオカシな妄語しとるねん。ハイ、ノーモア芥川、じゃなかった淀川様、わたしゃコレカラ四国巡礼お遍路入りします。