石笑 辛一

そしてすべてを受け入れる

イメージ画像/地蔵


1.『「すべてを引き受ける」という思想』( (光文社)
2.『こころと脳の対話』(新潮社)
3.『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(岩波書店)

ボクは対談集が好きである。司馬遼太郎は座談の名手であった。『時代の風音』(朝日文庫)など、幾度読んでも愉しく刺激的。今回取り上げた1.2.は、脳科学の新鋭・茂木健一郎(1962~)と二人の巨人との対話篇で、1.は吉本隆明(1924~2012)、2.は河合隼雄(1928~2007)。3.の村上春樹は申すまでもない。(1995年に行われた対談で、その年1月17日に阪神大震災、3月20日にオウム・サリン事件勃発)

「脳」ブームは終り、今、「腸」活である。「こころ」はどこにあるんだ? 大脳ではなく心臓にもなくて、どうやら腸にあるらしい。病めるこころ、実は腸の歪み・汚れに原因がある。「アナタの腸はダイ腸夫!」脳は意外にだまされ易くおバカさんなのに対し、腸さんはしたたかで賢いのだネ。

今「聞き上手」が人気だが、河合氏は無類の聞き上手・達人で、患者と向っても何も言わず説教もせず、それでいて不思議に患者は癒されてゆく。
吉本の本はムズカしく、若いころは難解さが魅力的だったが1.は対談という事もあり、かつてより、よほど読みやすくなっている。文体、語り口が平易、くだけていて、べらんメエ調も出てくる。ある時は漱石・賢治・太宰を語り、ある時はフーコーから親鸞を語る。エライ人かと思えば、ふつうのオッサンにも見える。

ふと、ヘンデルが聴きたくなった。バッハと同時代に、主に英国で活躍。代表曲は「水上の音楽/王宮の花火~ハレルヤ」である。バッハは『フルート・ソナタ(1)(2)』『マタイ受難曲(ハイライト盤)』を再聴。18世紀ほぼ同時期の「江戸のバッハ」と言われる「八橋検校」も。ご存知?ボクは半難聴だが、近ごろは逆に善くなっている。モーツアルトは効く。高周波・リズムの多いモーツアルトは快脳・快腸にするってホントーだ。

まず自分の「カラダの声」を聴くように心がける。他は騒音・雑音と受け流す。もっと言えば、ナニが来ようと怖れない。老い、ボケ、ガン? あるいは家庭崩壊? 地球温暖化でますます天候不順。人体・アタマも足も弱ってホイサッサ。日暮れの山道……もういいかい? まーだだヨ!

加島祥三

加島祥三

対話力・コミュニケーション力、ありや否や? 今年90歳、東京生れだが、今、信州伊那谷に住む加島祥造の最新エッセー『私のタオ-優しさへの道』 (筑摩書房)を読んだ。以前に『求めない』』 (小学館)、『会話を楽しむ』 (岩波新書)を読んで、たちまち魅了された。ズバリ、現代の仙人である。
もう一人、鎌田東二(1951~徳島生れ/宗教・哲学・思想家)の著作との出会い。『謎のサルタヒコ』 (創元社)、『隠された神サルタヒコ』 (大和書房)。まだ読んでないが『宗教と霊性』 (角川選書)、『翁童信仰』 (雄山閣出版)など。

ナニを言いたいかというと、現代人の多くは自分自身、本質の自己と向き合うことをしないから、当然、対話/コミュニケーション力も育たない。自己主張するばかりで他人の言う事に聞く耳を持たない。
ヒーリングとか癒しとかが、よくマスコミに喧伝登場するが「癒し」なんて「卑しい」。やれ健康にいい、美容・若返りに効くという広告・コマーシャルが氾濫している。たまたまテレビなどで「○○がいい」と放送されると注文が殺到する。だが、ブームはブーム、すぐに飽きられ、また他の次のモノ・コト・ヒトに飛びつく。

今は何でも情報が入る。一億皆もの知りで、なまじの医者よりクスリに詳しい人が大勢いる。あるいはクスリを出さぬ医者はヘボと非難され、医師もやむ得ずクスリを出さざるを得ない。そもそも「病む」「風邪をひく」のはカラダ・こころを休ませろ、という神サマのありがたいお知らせ=メッセージ。よく風邪をひき多病多患な人は意外に長生きし、頑健だった人が若年、突然死したりする。わからないものですヨ。

ただこれだけは言える。
・ノイローゼ、うつ、病弱をよろこび給え。コンプレックスの強さだけ、よりたくましく成長できる。
・年齢など関係ない。学歴、劣悪な環境? 他人や時代のせいにするな。問題は自分にある。-世の中でいろいろ起こっているコトは、実は自分の責任だ-人間は成長していくほど、他人や世間に求めなくなる。
・わが身に起こるコト・モノ、ヒトとの出会いは、実は自分が引き寄せたものである! となると人を外観で判断したり、世間のニュースに一喜一憂しなくなる。

以上、エラそーな事を言ったが、人間必ず死ぬ。半年~一年後はもうこの世にいないかも知れない。そしてナニが来ようと怖れない。すべて善し。そしてすべてを受け入れる。