石笑 辛一

古典が新鮮!

『「江戸しぐさ」完全理解』(三五館:2006)
『図解雑学 菜根譚』(ナツメ社:2010)
『みんなが幸せになるホ・オポノポノ』(徳間書店:2008)
 
戦後は死語になり、輪後(東京オリンピック)から泡(バブル)後を経て、今は震後(3.11)~、時代 はくるくる変わってゆくが、果たしてニホン人のこころは変わったか、変わらないか、変わるべきか? 結論を言うと、根底において変わっていない、唯、忘れているだけで、思い起こす事は出来ると思う。 
『「江戸しぐさ」完全理解』の副題は-「思いやり」に、こんにちは-。
『ホ・オポノポノ』は-ハワイに伝わる癒しの秘法、神聖なる知能が導く、心の平和のための苦悩の手放し方-。

 3冊をじっくり読めば、共通点が伝わってくる。『ホ・オポノポノ』はハワイ民族の生きる知慈であり、『図解雑学 菜根譚』は17世紀中国の明の古典だが、江戸期の武士から町民・商人まで広く読まれたロングセラーズで、儒教(孔子)と佛教(釈迦・禅・達磨)と老子・荘子思想とがバランスよくブレンドされていて、「江戸しぐさ」のバックボーンにもなっている。

 なんだか道徳的で説教くさくて、退屈・窮屈に見えるが、イザ読み出すと(どの頁からでもよい)、わくわくしてくる。ハワイ・中国・日本の昔の人のふところの深さにつくづく感心する。
 但し、若い人に無理にすすめても敬遠されるのがオチだろう。それは、クラシック音楽・古楽と同じで、はじめはとっつきにくいもので、あるキッカケから俄然面白くなり、半生にわたる友・師・恋人になるようなもので、古典がにわかに新鮮になる。

吾れ唯足るを知る ……
能ある鷹は爪を隠す ……
大器晩成 ……
(『菜根譚』より)

水は最上至高の善 ……
柔弱は強剛に勝る ……
(老子『道徳経』より)

無用の用
(夢の中で)我は蝶か、蝶が我か?
(『荘子』)

 ニーチェの「ツァラトストラ」はゾロアスター教(拝火教)徒で、「これが人生か、よし、もう一度!」と永劫回帰を語り、それは、達磨(ダルマ)の七転び八起きの精神に通じる。コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」たちは、西欧文明への非適合者・失敗者と言うよりも、中国・唐の竹林の賢者に近い。ビートルズ(デビュー50周年だ!)の『イマジン』『レット・イット・ビー』は、ヨガや日本の神道に迫っている。

 前20世紀は、生と動と陽の時代だったが、21世紀は死と静と陰の時代であり、火星へ探査機を飛ばせた人類は果たして22世紀まで生き残れるか? メメント・モリである。