石笑 辛一

疲れを知らない子供のように

人間も動物。生きものなのに、それを忘れがち。頭脳が発達しすぎ、肉体の方がついてゆけない事態が来ている。文明の発達は、唯脳化・都市化であり、ますます肉体という小自然にひずみが顕在化-ガンとうつ・自殺・若年性認知症が増える一方である。
ヒトは二本足で立ち、自由になった手で道具を作り、食糧を得、適応力を伸ばして来たが、ピシッと永く立てない子や若者が、腰痛・ヒザ痛に悩むお年寄りが増え、街には整形外科や歯科医が目立つ。
さて、日頃敬愛している著者の新・旧著を読み返してみるのは有益である。
『免疫革命』は、国際的免疫学者・安保徹の名著。自律神経とガンなどの現代病との関係をつきとめ、免疫のメカニズムを解明し、ガンにならない法、ガンになったときどうしたらいいかを懇切丁寧に提言している。
『自然治癒力の驚異』の帯津良一医師も食道ガンの外科医だったが、西洋医療の限界を知り、民間療法や気功・呼吸法を取り入れた東西統合医療を目ざしている。
『快癒力(1)(2)』『幸福力』を著わした篠原佳年医師も、最近ではモーツアルトなどの高周波音楽療法を推進、現代の難病(膠原病・リウマチ)に四つに取り組んでいる。

ノーベル生理学・医学賞を受賞したフランスのアレキシス・カレルの『Man the Unknown』(邦題「人間-この未知なるもの」桜沢一如訳/角川文庫・昭和27年刊)をボクは1961年以来いく度も読み返してきた。“人間の研究は人間である”とパスカルは言った。モンテーニュ、ラ・ロシュフコー、ニーチェ、ジイド、三木清、ボクはいわゆるモラリスト文学が好き。あとはジョークの本。

日本人は駄洒落・地口文化はあっても「ユーモア感覚」が不足というが、果たしてどうか?
毒舌というブラックユーモリストなら、いる。人間嫌い? いや、人たらしはいるもので、もう、愛して愛して骨まで愛しちゃう男になりそうなボクですが、女性恐怖症は今もありますが……。ま、他(はた)から見れば変人・奇人に見えても本人はマトモと思っているから世話ない。

上記の医師たちはいずれも名・高僧のようで、カラダを極めるとココロに達し、肉体の健康から、スピリチュアル=霊性の目ざめ、へ辿りついているようでいい。
アーメン、死んでもいのちのあるように。

人間-この未知なるもの-

アレキシス・カレル「人間-この未知なるもの-」(1980年,三笠書房版,渡部昇一訳のもの。現在は文庫で同社から出ている。)